女王様の心理カウンセラー的側面 傀儡堂 及川貴和子女王様

更新 (女王) : 脳内革命 S女コラム

こんにちは、京都SMクラブ傀儡堂の及川貴和子と申します。
京都のとある大学にて応用社会心理学の研究を経て、
現在は京都大阪東京を飛び回りながら、女王様をいたしております。
今回は『女王様の心理カウンセラー的側面』について、
少々お話させていただきますね。



女王様をやっておりますと、よく"1番すごかったプレイは?"と聞かれます。
この質問に答えるのはとても難しいのです。
我々が相手をするお客さまの中には、深くこだわりのあるフェチの方や、毎回同じプレイを繰り返す方も多くいらっしゃいます。
責め苦や支配服従を求める方だけでなく、他の風俗店では願望を満たしきれなかった、行き場所の定まらない"その他"の性癖の方々が集まるのが、SMクラブという場所だからです。


"その他"の方々の多くは、まずご自身の性癖の詳細や、求めるプレイの説明をしてくれます。
動画や写真でコレクションを見せてくれたり、過去のプレイ経験を語ってくれたり、そのフェチに至った理由を語ってくれることもあります。
要望が非常にハッキリしている方もいるし、なんとなくの傾向はあるがドンピシャの正解には辿り着いていない…という方もいます。
コレクションや思い出があるのなら、お店に行かずとも、一生オナニーで満足できるのでは?
いいえ、決してそうではありません。
人には、"語りを聞いてもらうこと"それ自体が願望としてあるのです。



"傾聴"というカウンセリングの技法があります。
これは話者に対して共感的に、否定や判断をせず真摯に耳を傾ける"聞く技術"であり、話を聞くこと自体が、話をする側にとっての安心感や信頼につながっています。
SMクラブでも、多かれ少なかれ、セッションの前にその方の求めるものを聞き出し、需要と供給をすり合わせることからプレイがはじまります。
心のうちを語ること/聞いてもらうこと、によってプレイの満足度が高くなる方にとっては、女王様はカウンセラーや心理的指導者でもあります。
生きることと切り離せないような欲望や、心の深くにある傷、生涯の業を"性癖"として抱え、それらを語るためにSMクラブを訪れる方たちは、"マゾ"と言うよりは、SMを介したカウンセリングを求める"クライアント"と言えるでしょう。
そして女王様は、支配や使役のかたちをとりながらも、クライアントが真に求めるものを探り導くカウンセリングを行うのです。
深い心のうちを語る/聞くために、数回セッションを重ねる必要があったり、何らかの信頼を築く必要があることも、心理カウンセリングと同様です。


また面白いことに、箱庭療法や絵画療法の如く、SMを介したカウンセリングでも語る/聞く行為は言葉のやりとりに限られず行われるのです。
鞭で打つ、縄で縛る、行動を制限する、心身を極限まで追い詰める、怖がらせたり喜ばせたり、見つめたり無視したり…等々。
カウンセラーとしての女王様は、あらゆる行為とそれへの反応を観察することで、身体からの語りを引き出すこともできるのです。
場合によっては無理やり身体に語らせることもありますし、行為に応じて起こる心理的変化を期待して、プレイを選ぶこともあります。



人は誰しも、自身について語る願望を持っています。
そして語りをただ聞いてもらうこと、それ自体に満足があります。
まれに、女王様宛に自身の性癖や求めるプレイを書き連ねた問い合わせメールを送るだけ送って、実際お店には全く予約を入れない、という困ったさんが現れてしまうのも、"語る満足"のためなのかな、と感じています。
(ちなみに多くの心療内科ではメールカウンセリングも有料です。問い合わせはご予約前提で紳士的にいたしましょうね。)



日々、様々な語りを聞いている世の女王様たちは、責め苦や刺激を与える創造性を持つだけなく、人間を受け容れる心の広い方が多いのも当然と言えますね。
そして世のSMクラブに通う皆さまは、セッションで女王様に何を話したいのか、話しているのかといった点から自身の性癖を見つめたり深めたりしてみてください。更に豊かなプレイにつながることと思います。
そして、SMやフェチプレイに興味はあれど、自身の性癖の行き先がまだ定まらない方へ。
是非一度、SMクラブで女王様とお話ししてみてください。きっとあなたの心の中にある素敵な扉を、女王様が開けてくださることでしょう。



傀儡堂 及川貴和子


傀儡堂-KAIRAIDO- 京都のSM

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