SMプレイにおける心理学の使い方 傀儡堂 及川貴和子女王様
更新 (女王) : 脳内革命 S女コラム
こんにちは、エムスポット Mspot誌上では初めまして。
京都傀儡堂の及川貴和子と申します。
京都のとある大学にて応用社会心理学の研究を経て、
現在は専業女王様をいたしております。
今回は『SMプレイにおける心理学の使い方』について、
少々お話させていただきますね。
大学で心理学を専攻していたと言うと、
「心が読めるんですか?」と、先ずほとんどの方が質問されます。
残念ながら、心理学だけでは、
今のあなたの心は読めません。
ただ、これからの行動や気持ちをコントロールすることはとても簡単です。
私はいつも、このように返答しています。
いわゆるマインドコントロールや催眠ほど大げさなことをしなくても、
初歩的な心理学の理論を用いれば、
女王様がM男性の行動や気持ちを操ることは容易です。
これは幻想でもなんでもなく、本当に出来ることなのですよ。
例えば、『認知バイアス』というものがあります。
これはビジネス本などでも紹介されている認知心理学の理論ですが、
対象を認知・評価する際に、自らの意思に沿った方向に考えが歪められたり、
印象的な特徴に左右されて他の認知・評価に影響を及ぼすような、人間の特性です。
例えば、あなたがずっと憧れていた女王様と初めてプレイをしたとして、
女王様はあなたの愛を試すために、わざと過剰に冷たく当たられます。
しかし、既に奴隷の心になっているあなたは、
女王様のどんなふるまいも、愛の鞭と捉えて受け入れてしまいます。
これは確証バイアスによるものです。
例えば、あなたが心から慕う女王様が目の前にいらっしゃったとして、
あなたは女王様のすべてに奉仕し舐めて味わいたいと思っています。
では、愛する女王様の足と一体化したハイヒールは?
女王様の一部として、あなたはハイヒールにも奉仕するべきだと感じるでしょう。
これは認知の一貫性バイアスによるものです。
例えば、あなたが鞭打ちのお仕置きを受けていたとして、
何発打たれるか、女王様にこう尋ねられたとします。
「30発で許してあげる。それとも50? お前は弱虫だから40発にしよう」
このときに感じる30発の重みと、
「10発で許してあげる。それとも30? お前は弱虫だから20発にしよう」
こう言われたときの30発の重みは違うと感じるでしょう。
これはアンカリング効果によるものです。
しかし、このようなテクニックで行動や気持ちを操作されていても、
理論の説明がなければ、ほとんどのM男性は気付きません。
ただ、不思議と充足したプレイが出来たと感じ、
素敵な女王様に出会えてよかった、と思うだけでしょう。
私はこのようなアンダーコントロールを重要視しています。
認識されない科学は「魔法」とほとんど同じですから、
ファンタジーが重要なSMプレイにおいて、解説過多は野暮というものです。
だからM男性には、女王様が使う不思議な魔法として、
受け取っていただければ良いと思っています。
もちろん、事細かなエビデンスや理論の羅列によって権威づけを行い、
白衣効果的にM男性を掌握する場合もありますが、
こちらの方法については今回は割愛いたしましょう。
SMプレイのメソッドには、心理学理論で説明できるものが多々あり、
どちらの女王様も、無意識のうちにそれらを使用しているはずです。
実践知の観点から言えば、SMプレイの現場ならではの心理的構造もあるはずなので、
今後なにか新しい理論が構築できるかも知れませんね。
今回はごく一部の心理学的テクニックを種明かしいたしましたが、
理屈が分かっても魔法が解けることはありません。
ご安心くださいね。
賢明なM男性諸君は、小難しいことはどうぞプレイではお忘れになって、
女王様の科学と魔法を、更にありがたいものとして感受してくだされば幸いです。
傀儡堂 及川貴和子
傀儡堂-KAIRAIDO- 京都のSM
BLOG : 及川貴和子の MORALITY
